飛騨路を北へ。詩情豊かにたたずむ街「飛騨古川」に酒蔵はあります。
飛騨市古川町は岐阜県の最北端に位置し、北アルプス連峰や飛騨山脈などの山々に囲まれた盆地。
東は「乗鞍岳」「穂高岳」西は白山連峰に囲まれた標高600メートルの高冷地です。冬は氷点下15度まで下がり、
毎年1月〜2月にかけて蔵がすっぽり埋まるほど雪に覆われます。降雪により空気は清浄化され、雪に埋もれた酒蔵は、酒造りに好適な室温が保持されます。
この環境のもとで清酒の醪(もろみ)は低温長期の発酵経過をたどり、きめ細やかで香りよい酒を作り上げます。
仕込み水に使う水はミネラル豊富な中硬水で飛騨山脈を水源とする荒城川水系伏流水。
敷地内の深さ55メートルの自家井戸から汲み上げて使用しています。
中硬水の仕込み水はミネラル成分(カルシウム・カリウム)が麹や酵母の栄養分となり、まろやかでキレの良い味わいの酒に仕上がります。
飛騨古川の町
『飛騨古川の町並には、みごとなほど、気品と古格がある。観光化されていないだけに、取りつくろわぬ容儀や表情、あるいは人格をさえ感じさせる』と語ったのは作家司馬遼太郎氏(「街道をゆく」)。
NHK連続テレビ小説「さくら」の舞台としても有名です。
出格子の古い商家が並ぶ壱之町は落ち着いたたたずまいを見せ、白壁黒腰の土蔵が続く瀬戸川沿いには今なおしっとりとした情緒が漂います。
渡辺酒造のあゆみ
蔵の前には、司馬遼太郎の「もと摺りの歌」が刻まれたブロンズが建てられ、杜氏たちの労をねぎらいます。藍色の暖簾をくぐると蔵の中は、長年にわたって美酒を醸し続けてきた、
老舗ならではの静謐な時間と濃密な空気が満ちています。
享保17年に渡邉家の初代久右衛門が当地で「荒城屋」と称して業を起こし、三代目久右衛門が両替業を始めると共に生糸を製造して京都に販売し、産を成しました。
渡邉家が酒造りを始めたのは今から150年前、明治3年(1870)5代目久右衛門章でした。生糸の商いで京都に旅した折に口にした酒の旨さが忘れられず、自ら居するこの地に酒蔵を構え、旨い酒をとの一心で酒造りを始めました。
出来あがった酒は至極好評となり、酒を愛でる宴で謡曲を謡いながら、えもいわれぬ、珠玉のしずくに酔ったと記されています。その時、謡われた謡曲「鶴亀」の一節から「蓬莱」を銘柄として選びました。
明治・大正・昭和と、全国の銘醸地を巡り歩き、酒造技術の習得に努め、美酒醸造の努力を惜しまず、品質至上主義を貫き数々の品評会で上位へ入賞。飛騨を訪れる文人墨客に愛飲され、その名は次第に酒通の知るところとなりました。
「飲んで旨い酒を、熟練の蔵人が愚直に醸す、本道の酒造り」
それぞれの酒蔵には追い求めるものがあります。それはどうしても捨てられない「酒蔵の魂」というべきもの。
渡辺酒造店が原点とし、目指し追い求めるものは「飲んで旨い酒を、熟練の蔵人が愚直に醸す、本道の酒造り」。
そして「米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り」。
古い木の道具を使い、直に感じる香りや手触りを重視。
「伝統と手造り」を掲げ原材料や醸造技術にとことんこだわり続けています。
現在の9代目渡邉久憲は、生涯に渡り酒造りに情熱を燃やした伝説の名匠「故・板垣博司杜氏」の協力を得て、創業以来受け継がれた
諸白吟醸造りを開花させ、技術研鑚、人材育成、伝統文化の伝承にいまなお余念がありません。蔵人たちの熱意とたゆまぬ努力により、
「渡辺酒造の酒」は飛騨を代表する美酒として高い評価を受け、地域風土に根差し、四季折々の食材と共に生活の慶びの一献として、永きにわたり地元の人々に愛し続けられています。
「W」の魅力
「W」全ラインナップは、日本酒の未来を思い特別に醸造された、数量限定品。
一見日本酒とは思えない、存在感ある前衛的でカラフルなボトルとラベル。
ブランド名の「W」は渡辺酒造店(Watanabe)、世界(World)、笑い(Warai)のトリプル「W」を意味します。
渡辺酒造店(Watanabe)が醸すこの飛騨地方特有の深みある酒の味わいを世界(World)へ発信していきたい。
目指す酒質は、綺麗な甘口。すなわち上質な癒し感。そこに笑い(Warai)があると考えます。
「W」のこだわり
原料の酒米にもこだわり、農薬や化学肥料を極力減らしてお米を作る農家から酒米を調達。環境保全米を使用し、環境保全型農業を厚く支えています。
精米歩合を小さくすること、数字をもてあそぶことが「W」の目指す本質ではないという考えから、精米率は50%以上の純米大吟醸規格ですが、敢えて純米酒の表示。
米の旨みを柔らかく包みこんだ上品でキレの良い旨口酒を基本とするが、それだけではない飛騨の地酒らしい腰の強さと奥行きを併せ持っています。
「W」に込めた願い
「先入観なく、気軽に米の旨味、滋味が味わえる純米酒として、品質・銘柄・本物にこだわる日本酒愛飲者に飲んでもらいたい…この酒を育てていただきたい…いうのが蔵からの切なる願い。
数値や理屈だけで判断をせず、見えない命がすべてを生かしていることを信じること、そんな気づきや工夫によって味を追求している、笑顔の絶えない「真っ直ぐな」酒蔵の特別限定酒です。
数々の受賞歴
全国酒類コンクールグランプリ受賞。モンドセレクション10年連続最高金賞。iTQi優秀味覚賞国際品質審査会最高位3ッ星受賞。
ワイングラスでおいしいアワード金賞受賞などなど…長きにわたり受賞は多数。全国を見ても屈指の受賞歴数を誇ります。