創業は明治三十五年ですが、「南部美人」という銘柄は昭和二十六年に命名されました。
素晴らしい自然と豊富な水の恩恵に恵まれた南部の国の地名と
全国的に精米歩合も低く雑味の多い甘い酒が主流の中で、綺麗で美しい酒を造りたいという思いから
「南部美人」と命名されました。
その南部美人を醸してきたのが、平成四年に国の卓越技能者「現代の名工」、
そして平成7年に勲六等瑞宝章を受賞した、南部杜氏の山口 一 杜氏です。山口杜氏は、南部杜氏自醸酒鑑評会において、
連続50回以上優等賞に入り、特に昭和54年、55年と平成13年、14年には2年連続して首席となり、大蔵大臣賞を受賞しました。
合計4回の首席受賞は南部杜氏史上初の快挙となります。また東北鑑評会、全国鑑評会では多数の入賞歴を誇りますが、近年では平成13年、14年と連続して金賞を受賞、世界の酒類コンクールであるモンドセレクションでは、1997年から今年まで6年連続してゴールドメダルを受賞(グランドゴールドメダル)しているベテラン杜氏です。しかし「酒造りは何年やってもわからない。何よりも、米と麹と水の相性を知るために千変万化する自然の水の性格を掴むのが難しい。だから毎年が一年生。」と口癖のように話します。その山口杜氏は平成18年から名誉杜氏として南部美人の技術顧問をお願いしておりましたが、平成20年10月、天寿を全うし、お亡くなりになりました。
現在は亡くなった山口杜氏の元、生え抜きの副杜氏として働いてきた松森淳次が杜氏として就任し、新たな南部美人の酒造りに五代目蔵元久慈浩介とともに、邁進しております。亡くなった山口杜氏の技術と心をしっかりと受け継ぎ、新生南部美人を目指して究極の酒造りを目指します。両者とも、岩手県が認定する青年卓越技能者表彰を受けており、このような例は岩手でも稀なほど、技術についての評価が高くなっています。