吟こうぶりは漢字で『吟冠』と書き、吟醸酒の中でも最高の品質のお酒に名づけしたものです。
厳選した精米(山田錦)を心白(米の芯)だけになるまで高度に精米し、低温で長い日数をかけて発酵させます。
米を真珠の玉のように磨くことにより繊細な味わいとなり、低温で発酵させることにより、吟醸香とよばれる優雅な香りが生まれます。
杜氏は昼夜問わず細心の注意力と全ての感性を注ぎ込みます。
こうして醸し育てられ、さらに三年以上の眠り(熟成)により味わいはより精妙かつまろやかに、吟醸香は落ち着いた奥行のある香りになります。

使用米：山田錦 磨き：35%

霊峰白山から流れ出る伏流水と加賀平野に実る良米と。
天狗舞は自然の恩恵を受ける松任の地で醸されてきた地の酒です。
創業は文政六年（1823年）。
初代蔵元 車多太右衛門が諸国行脚の折に口にした各地の酒の旨さが忘れられず、自らの居するこの地に酒蔵を構え、旨い酒をとの一心で酒造りをはじめたと伝聞しております。
かの時、蔵はうっそうたる森に囲まれており、木々の葉のすれあう音がまるで天狗の舞う音に聞こえたそうです。
その謂れから、「天狗舞」の酒銘は生まれました。
幾星霜を経た今日でも、初代の「旨し酒を」との願いを忘れずに連綿と酒を醸し育んでいます。