焼酎の世界では唯一の「杜氏の里」として知られる鹿児島県南さつま市笠沙町黒瀬地区。明治の時代、黒瀬から三人の若者が沖縄に渡り、泡盛の製造技術を学び戻ります。 この技術を持って黒瀬の地から九州各地の焼酎の蔵に杜氏・蔵人として出かけました。 やがて焼酎造りの一切を任されるようになり、『黒瀬杜氏』と呼ばれるようにまりました。
一方、泡盛の麹菌から焼酎に適した黒麹菌が誕生し、鹿児島で長く使用されていた日本酒に用いる黄麹よりも、 製法が安定し、良質な焼酎が出来るため、黒瀬杜氏と共に九州各地に広がりました。
やがて大正の時代に入ると、芋焼酎に最適な白麹が発見され、製法も、品質も格段に安定しました。 そして、呑み易い焼酎と評価され、鹿児島のいも焼酎も全国へと普及していきます。 その本流の焼酎造りの技を、体で覚えている数少ない杜氏が、総杜氏 黒瀬安光氏です。