1.「ウイスキー」の歴史
その歴史は未だ詳しくは解明されていませんが、中世ヨーロッパ、スペインにて錬金術用るつぼを輸送中に偶然出来上がったアルコール液が原点といわれています。
スペインの人々は嗜好品ではなく不老長寿の秘薬「生命の水」としてこの蒸留酒を各地に広めました。たどり着いたアイルランドにて、
当時使われていたゲーリック語で訳され「ウイスゲ(水)・ベーハ(生命)」と呼ばれ始めます。この「ウイスゲ」が「ウイスキー」の語源と言われます。
2.代表的な原料による分類
●「モルトウイスキー」
大麦麦芽(モルト)のみを使用したウイスキー。いくつかに分類されるが、中でも1か所の蒸留所で造り
他のウイスキーをブレンドせず度数のみ調節しボトリングされる「シングルモルトウイスキー」はファンが多い。
●「グレーンウイスキー」
小麦やライ麦、トウモロコシなどに、モルトを糖化酵素として加えたウイスキー。濃厚なモルトウイスキーのブレンド用として使用されることが多い。
●「バーボンウイスキー」
トウモロコシを51%以上〜79%以下の割合で主原料にしたウイスキー。内側を焦がしたホワイトオークの新樽で2年以上貯蔵・熟成させることが条件。
アメリカンウイスキーの代表として根強い人気がある。
●「コーンウイスキー」
80%以上トウモロコシを原料に使用したウイスキー。製法はバーボンとほぼ同じながら、貯蔵は焦がしていないオーク樽で熟成期間も決まりが無い。
無色透明で、強めのアルコール感と後口にコーンの甘味を感じるものが多い。どこか焼酎に通じるものを感じるテイスト。
3.風味を形作るもの
ウイスキーが造られる全ての工程一つひとつに、個性となる香りと味わいを形成する大切な要因が含まれます。
原料・使用される水はもちろん、乾燥・糖化・発酵など細やかな工程、蒸留機の種類、樽の材質や大きさ、
さらには造られる蒸留所の立地や気候、貯蔵庫内での位置や積み上げ段数などに至るまで、あらゆる条件が複雑に作用しあって造り上げられています。
その繊細さや奥深さが、長きに亘り多くの人々を魅了する理由の一つと言えるでしょう。
4.5大ウイスキー
世界には「5大ウイスキー」と呼ばれるウイスキーの主要な生産地が存在します。
アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダ、そしてここ日本で製造される、ジャパニーズウイスキーです。
●「ScotchWhisky(スコッチウイスキー)」
スコットランド特産のウイスキー。樽に3年以上寝かせ熟成させたコクのある味わい。
麦芽を発酵させる前にピート(泥炭)の煙でいぶし乾燥させる為特有のスモーキーな香りが特徴。
海由来のヨード香が特徴の「アイラモルト」もこちらの一種。
●「IrishWhisky(アイリッシュウイスキー)」
アイルランドで造られるウイスキーの総称。モルトの乾燥に石炭を用いるためピート香やスモーキーさはなく、
蒸留回数が多い為、滑らかで穀物の芳醇な味わいが引き出されている。
●「AmericanWhisky(アメリカンウイスキー)」
アメリカ産ウイスキー。「バーボンウイスキー」が特に知られる。他にもコーンウイスキーやライウイスキーなどがある。
キャラメルやバニラのニュアンス、甘みを感じる為、比較的飲みやすい。
「ペンシルベニアスタイル」と呼ばれるタイプのライウイスキーはやや苦くスパイシー。
●「CanadianWhisky(カナディアンウイスキー)」
カナダ産のウイスキー。ライ麦、大麦、トウモロコシを原料にした、比較的クセが無く軽快な味わいが特徴。
一般的にライ麦特有の香味を持つ「フレーバリングウイスキー」と、トウモロコシ原料のスッキリとした「ベースウイスキー」を
ブレンドしている。
●「JapaneseWhisky(ジャパニーズウイスキー)」
日本で造られるウイスキー。ニッカの創始者竹鶴政孝氏がスコッチウイスキーに感銘を受け、その製法を日本に持ち込んだことが始まり。
日本人に合わせた独自の進化を遂げ、ピート臭を抑えた、穏やかで繊細、軽やかでマイルドな口当たりのものが多い。
5.多様な楽しみ方
ウイスキーが人々の心をつかんで離さない理由の一つに、その「多様な楽しみ方」が挙げられます。
その日の調子や気分によって飲み方を変えたり、また温度や氷の溶け具合、水質や割り方によって、同じウイスキーでも香り立ちや味わいが大きく変化します。日本人の飲み方で多い「ロック」はもちろん、食中酒として味わいやすい「水割り」や「ハイボール」。
より芳香を楽しめる「トゥワイスアップ」や寒い季節にはお湯を注いだ「ホットウイスキー」など様々。注ぐグラスのタイプやデザインによっても引き出される風味が変わり、その楽しみ方はさらに広がります。
そのグラス一杯に込められた歴史やドラマに思いを馳せ、安らぎに満ちた琥珀色の世界を、ぜひごゆっくりお楽しみください。