来福酒造が蔵を構える茨城県では、蔵元は地元の名士が多く、お祝いやお返しに名士が造ったお酒が使われることが多いそうです。
しかし、先代は近江の商人。古くからこの地に根付いていたわけではない来福酒造に、そういったコネがあるはずもなく、苦労の時期もあったそうです。
時代は変わり、現蔵元である10代目藤村俊文氏が跡を継ぐことになり、来福酒造は大きな転機を迎えることとなります。
当時、「来福」は地元ですら知名度の低かったお酒、今更世に出回っているお酒と同じ造り方をしても急激に知名度が上がるわけもありません。
ここで藤村氏が着目したのが、まだまだ使用している蔵の少なかった「花酵母」。
東京農大在学時代、「花酵母」の研究を専門に行っていた同氏だからこそ造ることが出来るお酒、それが「花酵母」を用いたお酒だったのです。
〜"花酵母"で日本酒業界を変える〜
花酵母とはその名の通り花から分離した酵母のことを指し、発酵能力に優れた、味・香り、共に優れた味わいをもつ酵母。
"花"そのものではないので、花の香りがダイレクトにするという訳ではありませんが、自然の恵みから取れた安心の酵母で、かつ、既存の研究を重ねられた良質の酵母にも勝るとも劣らない、上質な酵母なので注目されている酵母です。
現在では様々な花酵母の研究が進められており、来福酒造ではなんと、10を超える花酵母が各お酒に使用されています。
藤村氏の花酵母に対する造詣、熱意は凄く、大学の論文も花酵母についてのものだったそうです。
そんな藤村氏の醸すお酒「来福」は華やかで芳醇。
米の甘みと花酵母の持つ甘みがしっかりとお酒にも反映されています。
今でこそ花酵母を使用した日本酒は数多くあるものの、藤村氏はその世界での先がけ的存在。
全国新酒鑑評会においても最優秀にあたる金賞を受賞するなど、来福は全国でも認められる、花酵母使用のお酒として酒造界から大きな視線を注がれています。
これからも藤村氏の醸す花酵母のお酒から目を離せません。